学園祭のステージ


清海を中心に順子を含む五人がステージで演奏した。

喜代美は照明係。

口元を堅く結んで喜代美は舞台上を見つめていた。



何がそれほどに悔しいのか?

ここでは自分がステージでスポットライトを浴びる妄想はなく、自分で稽古を止めて自分を変える機会を手放したダメさ加減に悔しさいっぱいです。


そっと喜代美を見る糸子さんの様子も何かに耐えているようで。


小梅おばあちゃんは満足そうにステージの清海を見ていました。

稽古のときに喜代美の音が曇っとると看破したくらいだから、清海の音で彼女の努力の跡が分かったでしょうね。



学園祭が終わって、順子に愚痴をこぼす喜代美。

順子は、ここにいたら喜代美は脇役かもしれないが、自分の人生の主役は自分だ、人生のど真ん中を歩いていけばいいと諭す。


順ちゃんのアドバイスは、環境を変えろ、主体性を持て、ということでしょう。

環境という点では、人間関係の固定された小さな町の息苦しさがあり、学校もほとんどの子供が地元の高校に進むようでは、一度ついた印象から皆離れられない。

清海が飛び抜けた秀才だったら、下宿して他の地域の高校に進学したかもしれないけど、そこまでのことはしなかったわけです。

主体性を持てという点は、他人と比べずに我が道を行けということだけど、喜代美はその道が分からないから周りに流され後悔ばかり。


短大の推薦も、(他にしたいことが何か分からないから)受けてしまった。