第5週 兄弟もと暗し 第28回
五木ひろし、登場。小草若、小浜に現る。
来たよ来たよ。
大スターと売れっ子落語家があの時、小浜でニアミスしてたとは…、忘れてたわ。
この回の小浜ロケが茂山宗彦さんの撮影初日だったと知ると感慨深いものがあります。
作品上の初登場はもちろんインパクトありましたが、撮影初日こそ全ての原点かもしれない。
たしか、このロケ前日に、茂山さんは小草若ちゃんの街頭レポートの原稿と底抜けポーズを準備していたのですか。
第五週の演出は勝田夏子ディレクターで、彼女の側からも公式ホームページのスタッフ日誌で「底抜けは茂山さん考案」と書いていたので、凄いものだなと思いました。
何がというと、脚本を挟んで演出家と役者が本番前から鋭いラリーの応酬をしていた様子が垣間見えるからです。
勝田さんは茂山さんができると信じるから丸投げしたのだし、茂山さんは自分が小草若をつくる上で必要なものを的確に出してきたのです。
脚本に「奇妙なポーズ」「レポートをする」とだけ書かれていたら、演出家の裁量で細部を作り、役者はその指示に従うのみ、という場合もあるでしょう。
それが撮影初日のシーンなのに、こんなに役者からの案が入っているのは、キャラクターの設定が物語の中できっちりできていて、現場で揺らぐことがなかったからでしょうか。
茂山さんは主要キャストの中で決定が遅かったので、準備期間が短かったと思いますが、撮影に入るまでに完璧に役作りができていてスタッフとも良い関係だったのかと想像してしまいます。
そういえば、小草若役はオーディションではなかったんですね。
キャスティング担当の方には頭が下がります。