さて、「ちりとてちん」話に戻るとしますか。
この回は電話のシーンが好きです。
草原さんが修理出来上がりの連絡で草若邸に電話をかけると師匠が出てしまい、草原さんは何も言わず(言えず)電話を切ってしまうところ。
師匠が直接電話をとるなんて、以前は無かったのでしょう。
常に誰かが傍にいて、にぎやかな噺家の家だったから。
電話をとるという場面だけで3年の時間が滝川のようにほとばしり、また、草原さんは師匠の声を聞いて、一気に滝川をさかのぼっていったようにみえました。
そして、喜代美の「徒然草」の話があり、緑さんの「まーくんの笑ろてる顔見てないよ」と続き、草原さんは落語の流れに帰っていきました。
上手くできること、好きなこと、の両立って難しい。
上手くできないと、自分が本当にこの道をすすめるのか、他人に迷惑をかけるばかりで自信がなくなってしまう。
でも、上手くできなくてもいい、好きな道をすすもうとするときに後押ししてくれたのは、一番迷惑をかけてきた妻だというのが、すごく真っ当な話なんだけど、ストンと腑に落ちます。