第2週 身から出た鯖 第7回

喜代美、高校三年生。


この週はあまりよく見ていなかったので、忘れていたことが多そうです。

今回は国語の授業中、「徒然草」だけは好きやった、という件が出てきた。
この問題ならできると手を上げかけるが、級友のビーコにわかるのかという不信の目を妄想して(自意識過剰)手を下ろしてしまう。

このことは私は全く忘れていたので、後のエピソードで喜代美が徒然草の冒頭を引用したとき、何を言い出すんだとすごく違和感ありました。
でも、喜代美にとっては、これなら自信ありというネタだったのね。
高校のときは、ええとこ見せたろと色気を出して、やる前から自滅してしまったとは、アホさにも程があるでしょう…!

あまりよく見ていなかった、というよりも、私は痛々しくて正視できなかったのがこの頃の喜代美です。
自意識過剰で、傷つくことを恐れ、心の闇を笑ってごまかし生きている。
小学生のころは、エーコ(清海)は私の邪魔ばかりする…でも、そんな事思ったらあかんねん、と頑張っていたのに、そんな気持ちも萎えてしまったようで。
こんなうっとうしい女の子を見ていると、古傷がえぐられるようでいたたまれない。


そんな卑屈さを抱えた喜代美を、どうやら清海は好きらしいと思わせる場面がある。

清海が喜代美を家まで訪ねてきて、一緒に文化祭で舞台に立とうと誘う。
喜代美は、勝山で拾った石(化石)をいじりながら、(自分はビーコなんだから)身の丈に合ったように(過ごそう)と思って断る。
喜代美の石に気づいた清海は、自分も勝山の遠足からずっと持ち歩いていた石(水晶)と、半ば強引に交換してしまう。


清海は学園のアイドルであったけれど、決して女王様ではなかったようです。
たまたま、恵まれた容姿で勉強もスポーツもできただけで、自分から進んで他人の関心を集めなくても、勝手に周囲から注目されてしまう。
だから、常に受け身の他人に流されやすい、地味な性格のようですが、表面の華やかさの印象から、田舎の固定された人間関係の中では、なかなか期待を裏切ることができない。

黙っていても他人がよってくるから、普段はただニコニコしているだけの清海が、喜代美に対してはラブラブオーラ全開でお節介やくのが面白い。

清海はこの頃まだわかっていないと思うけど、喜代美の中のほの暗いものに、どこか自分と似たものを感じていたのかも。

石の交換の場面だけ見ると、お嬢様の気まぐれに見えてしまいますが、前後の流れを見ると、好きな人の制服のボタンをもらって交換に自分のを押し付けてしまう中学生に見えてくる。


ここから、「はてなの茶碗」が始まるのだから、本当に大河小説(ドラマ)だなぁ。

少しずつ清海の思いが見えてきたことで、私が密かに持っていた、喜代美は何故モテる?という謎が解けていく気がします。