辻占茶屋


喜代美と草々は天狗座に柳眉を聴きに行った。

柳眉がかけた噺は「辻占茶屋」


柳眉さん、本当にかっこええわ。

しゅっとしてて、きれいで、端正。


演じる桂よね吉さんは、今年度のNHK大阪「ぐるっと関西おひるまえ」のレギュラーです。

いつもはほわほわしたお兄ちゃんだけど、本職の話や実演になると男前が三割増し。

よね吉さんが落語の話をする日にスタジオ観覧へ行きたいな。


尊建と草々が天狗座のロビーで遭遇。


ここで「鼻毛」呼びが出てきてたのか。


帰宅途中、磯七さんに捕まり、草々は散髪屋組合での高座を依頼された。

しかし、草々は断って立ち去ったのを受けて、磯七が三年前の師匠が穴を開けた一門会での草々自身の失敗について語った。

草若の代わりに高座に上がった草々が、まだ稽古途中の「辻占茶屋」をかけて大失敗したということ。


師匠から上演許可のない噺をかけるのは、本来ありえないことなんでしょうね。

ただ、師匠の無断休演という非常事態で動転していたことは想像できます。


草々自らのネガティブな感情で高座に上がれなくなっていて、師匠が復帰できれば自分もまた高座に上がる勇気が出るという気持ちがあったのでは、と私は想像します。

第4週 小さな鯉のメロディ 第21回

辻占茶屋。糸子からの電話。



ちりとてちんメモリアルブック」を読みました。


熱気に溢れているけれど、暴走しすぎることのない、よい本だと思います。

Q&Aコーナーで本編の内容に関わるものがなくて、安心しました。

インタビューで出演者が役について語るのは、それぞれの解釈だから構わないのですが、本編に出てこない場面や設定がステラ増刊のムックに載ってしまうと、公式回答に感じられるので、妄想族にはツライ。


名場面の写真は、草々、柳眉、尊建の縁側での3ショットがあるのが嬉しかった。

それから、小草若ちゃんの底抜けポーズで左手を前方に差し出した写真と、師匠が右手を前に差し出している高座の写真が、左右のページのほぼ対称の位置にあり、やはり親子は似てると、私一人で納得したり。


各週のあらすじは、資料として充分なものと思います。

私とはとらえ方が違うところは色々ありますが、私は自分が小草若フィルターがかかっているので、仕方ないことと思います。


他に印象に残った記事は、メインディレクター3人のインタビュー。

特に井上剛ディレクターの「ライブで撮る」という言葉には、納得しました。

現場の感覚を大事にして撮ることから、さらに別アングルの映像や気づかないで収録した思いがけない音声を編集でさらに膨らませて、内容を豊かにするのは映像作品の醍醐味だと思いました。


ちりとてちん」は舞台を観ているような気になると私は思っていましたが、上手に制作された劇場中継だったのですね。

(下手な劇場中継は視聴者の見たい部分がさっぱり映らずイライラさせられる。)

「寝床」にて


「ビール百本!」「何がええ?フォアグラか?」「焼きおにぎり百個!」


ああ、懐かしい。

喜代美は小草若が友春に似てると思った瞬間、小草若を"対象外"に分類しちゃっただろうな。

あほで優しいお兄ちゃんとしか見られない。

草々さんにはよう聞かん草若師匠の過去のことも、小草若ちゃんには尋ねることができる。


高座すっぽかし事件を語る小草若に物言いたげな菊江さん、その後の借金踏み倒し事件に驚く磯七さん。

菊江さんの「あの二人どうやって食べてるの?」という問いかけに、小草若は喜代美が昼間に見た草々の行動をそのまま説明した。


それだけでは生活できないはずだから、多分日払いのバイトなどもしてるんじゃないかなと私は思います。

師匠が現役の時みたいに付き人をしなくていいから。

師匠は…、小草若ちゃんが実際はお金の面倒をみていたかも。

「寝床」でツケを払っていたように、こっそり実家の神棚にお金を置いて帰ったりしてたのでは。

師匠に腹を立てていても、親が金に困っていて余所に迷惑かけていたら息子としては知らん顔できないでしょう。

小草若ちゃんならば。

さらに草々さんのことも、落語家生命が断たれる、と本気で心配していた。


他人の痛みや苦しみを敏感に感じられる人だから、小草若ちゃんは喜代美に優しいんだろうと勝手に私は思います。

ただ、その表現に照れがあるから、「底抜けに〜、シーユーアッゲン」とかやっちゃうんだ。

たによん寄席


天神橋筋なのにたによん(谷町四丁目NHK大阪最寄り駅)とは、これいかに〜?

というのは、ちりとてちんワールドは異次元の大阪だから、いいんです。


奈津子さんの部屋にあった「サブリナ」バックナンバーに、上方落語三国志の記事。

柳眉、尊建、草々の写真が登場。


柳眉役のよね吉さん、今よりしゅっとしてはるように見えますが。

草々の頭がアフロでないから、この写真はいつ撮ったのだろう。

アフロは地毛だったそうだから、クランクイン前かな。

それとも、第八週の断髪の後に撮った写真を使い、雑誌を別撮りでつないだかな。

それともCGで修正した写真?


他門の後輩の落語会に押しかけて手伝い、駄賃を貰うなんて、痛々しい。


でも、喜代美は草々に理由を訊けない。

そりゃあ仕方ないかな。

草々は喜代美に、そんなこと言うな訊くなと、叱ってばかりだったもの。

第4週 小さな鯉のメロディ 第20回

たによん寄席。「寝床」にて。


先日、NHK大阪の「ぐるっと関西おひるまえ」で桂よね吉さんが落語家の内弟子修行について、話してらっしゃいました。

よね吉さんの場合は、大師匠の桂米朝さんのお宅で3年間住み込んで、落語漬けの生活。

大師匠の落語会がある日のタイムスケジュールを見ると、1日24時間の内、睡眠時間を合わせても4時間半しか自由時間がありません。

家事や付き人業務、大師匠との夕食、生活全てが落語に結びつく、素晴らしいけど大変な暮しです。

落語のお稽古をみてもらうのは本来の師匠である桂吉朝さんで、よね吉さんは師匠のお宅に行かれたり、また、師匠が米朝さん宅に来られてのお稽古もあったそうです。

日々の師匠方は自分の高座があるから当然のように忙しく、内弟子だから毎日一緒にいても落語合宿特訓というわけではありません。

けれども、内弟子修行は、日常の些細な事全てを落語のために捧げても生きていける人間かどうか適性をみる期間として、大切なんでしょうね。

師匠とそれを乗り越えた弟子との関係は「親子以上」「血より濃い絆」と、よね吉さんはしみじみと語りました。



翻って、「ちりとてちん」の弟子達の内弟子生活はどうだったのかな。

喜代美と小草々くんのときに少し描かれたくらいで、あまり出てきませんでしたね。

もっと見たかったです、特に回想シーンで小草若ちゃん。

親子→師匠と弟子→「親子以上」には、年季が明けてもたどり着けてなかったような。



それから内弟子というシステムの経済的な問題。

弟子は無給で、落語と関係のないアルバイトも時間的にも無理。

ということは、生活の面倒を一切師匠がみるということになります。

これは師匠の方に非常に経済的負担がかかるはず。

上手いだけでなく人気があって収入のある落語家さんでないと、弟子はとれないものですね。



だから草々が高座に上がれない師匠について、身の回りの世話をしている状況は、菊江さんじゃないけど「どうやって食べてるの?」ということになります。

小草若、登場


うーん、いきなり夜の縁側で足の爪切ってる。


本当のところ、大阪バージョンの友春で、喜代美からもずっとバカにされるアホボン役と最初は私も思ってました。

それがあんなに立派になって…。

ちりとてワールドで一番、育ってしまったキャラクターでないかな。

それもきっと、当初の構想以上にです。


演じた茂山宗彦さんが最初から結末を知っていたとしても、初回から見事な出方をしてるなあ。

おもいっきり派手で、イタくて。


「夜に爪を切ると…」からの親子のやり取りがあり、草若が立ち去った後の小草若のやりきれなさを表す顔つきは視線が定まらず心細げです。

草々の素直さと対比をなす、小草若の頑なさが、アホボンと思いながらもどこか気になるものでした。

喜代美、初出勤


憧れのフリーライター、奈津子さんのアシスタントに決まり、浮かれる喜代美。

喜代美は奈津子さんの自宅兼仕事場のマンションを訪ねると、足の踏み場もない部屋で髪を振り乱して仕事をする彼女と対面。


仕事が一段落ついた後、奈津子さんは喜代美に下宿先の縁から徒然亭小草若に取材出来るコネがないかと話しかける。

ここで小草若ちゃんの名前と底抜けにポーズが初登場。


今見直してると、もうこれだけでドキドキしますw


それから、びっくりしたこと。


奈津子さんが喜代美に頭クシャクシャしてた。


仕事が片付いた後、うたた寝してしまった喜代美が部屋を片付け終わっているのに気づいてお礼を言うとき。

第三週では草々が、ここにおってくれ、と喜代美に頭クシャクシャしてた。


喜代美は(そして草々も)髪型をきっちり作りこまずナチュラルなままだから、頭クシャクシャされるのではないかと、いきなり思いつきました。

気持ちも自分に素直なままで、無防備に他人の愛情を受け入れられるから、親子でするようなスキンシップができるのでしょう。


小草若ちゃんのあのキメキメの髪型は、俺に気安く触るなや、と言っているみたいだ。